HACCPにおけるCCPの具体例を解説!

HACCPのCCPって何?専門家が詳しく解説! 検査
HACCPのCCPって何?専門家が詳しく解説!

食品業界で話題のHACCP。しかし、その実態はどれほどの方が理解しているでしょうか。
食品衛生管理の専門家として、HACCPの重要性とその実践方法を明確に解説します。
この記事を読めば、食品安全の最前線での実践的な方法やノウハウを習得できるのです。

HACCPとは

HACCP(ハサップ)は、食品の安全性を確保するためのシステムです。
食品業界では、原材料の受け入れから加工、販売に至るまでのさまざまな段階で危害が生じる可能性があります。
HACCPは、その危害を最小限に抑えるための手法として、世界中で導入されています。

HACCPの定義

HACCPとは、「Hazard Analysis and Critical Control Point」の略で、危害分析と重要管理点に基づく食品衛生管理の方法を指します。
この方法は、危害が発生するリスクを分析し、そのリスクを管理・監視するポイントを特定することを主眼においています。

HACCPの目的と重要性

HACCPの主な目的は、食品の安全性を確保することです。
これは消費者の健康を守るという最も基本的な目標に直結しています。HACCPを採用することで、食品の製造過程における危害の原因を事前に特定し、その発生を未然に防ぐことが可能となります。
さらに、事業者は品質の向上やリスク管理の徹底につながるため、信頼性の向上にも貢献します。HACCPは単なるルールやガイドラインではなく、食品の安全性を確保するための重要なツールとして位置づけられています。

HACCPとは?
Hazard Analysis and Critical Control Point

HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。

この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され,各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。

引用:HACCP(ハサップ)-厚生労働省

CCP(重要管理点)とは

食品の製造過程において、安全性を確保するために管理するべき具体的なポイントを「CCP(重要管理点)」と呼びます。
これは、HACCPのシステムの中で特に注目される部分で、食品の危害が発生するリスクを最小限にするための鍵となる部分です。

CCPの定義

CCPは「Critical Control Point」の略で、食品の安全性を確保するために、特に重要な管理が求められるポイントを指します。
危害が現れるリスクが高い工程や段階で、そのリスクを適切に管理し、危害の発生を防ぐための管理点です。

CCPの特定方法

CCPの特定は、食品の製造過程を詳細に分析することから始めます。
まず、製造工程の各段階でどのような危害が考えられるかをリストアップし、それらの危害が実際に発生する確率と、その影響の大きさを評価します。
最終的に、管理が不十分であれば危害が発生するリスクが高いポイントをCCPとして特定します。

CCPとOPRP(Opportunity for Risk Reduction Points:リスク削減の機会点)の違い

CCPとOPRPは、両方とも食品の安全性を確保するための管理点ですが、その重要度や管理方法に違いがあります。
CCPは、管理を怠った場合に直接的な危害が発生するリスクが高いポイントです。
一方、OPRPは、リスクを削減するための追加的な管理点で、CCPほどの厳格な管理が求められません。
しかし、OPRPも無視することはできず、適切な管理が必要です。

HACCPのCCPとは?危害要因分析と重要管理点の基礎
この記事では、食品衛生管理の専門家がHACCP(ハザード分析と重要管理点)とその重要管理点(CCP)について詳しく解説します。HACCPとCCPの基本から応用まで、食品安全を確保するための具体的なステップを学べます。この記事を読むことで、食品業界で働く方々はもちろん、消費者も食品の安全性についての理解が深まります。

HACCPプランの作成ステップ

HACCPプランは、食品の安全性を確保するための具体的な行動計画です。
この計画を作成する際のステップは、しっかりとした流れが必要です。
以下に、そのステップを詳しくご紹介します。

HACCP プラン (HACCP plan)
対象とする食品のプロセス(生産、製造、流通等)において、食品の安全性に関わる重要な危害要因を管理するための、HACCP システム適用の原則にしたがって用意された計画書

引用:食品製造におけるHACCP入門のための手引書-厚生労働省

危害分析の実施

まず最初に、危害分析を行います。
このステップでは、製造過程の各段階でどのような危害が考えられるかを明確にします。
具体的な危害としては、微生物の汚染や化学物質の混入などが考えられます。
この危害分析により、リスクの高いポイントを明確にし、次のステップへと進みます。

CCPの特定

危害分析を元に、重要な管理点、すなわちCCPを特定します。
これは、危害が発生するリスクを最小限に抑えるためのポイントです。
危害が発生する確率と、その影響の大きさを考慮しながら、どのポイントをCCPとして設定するかを決定します。以下がCCPとなりうる項目です。

  • 原材料の受け入れ: 原材料の品質管理と安全基準の確認。
  • 加熱処理: 加熱工程での適切な温度と時間の管理。
  • 冷却と保管: 製品の適切な冷却と保管条件の確保。
  • 包装とラベリング: 包装材料の安全性と正確なラベリング。
  • 金属探知器の使用: 製品に金属片が混入していないかの確認。

一般的に、食品製造プロセスにおけるCCPは、原材料の仕入れから出荷まで、2~3箇所設定するのが適切とされています。これは、CCPを必要以上に多く設定すると、モニタリングや管理に過剰な労力が必要となり、結果的に本来重要なCCPの管理が疎かになるリスクがあるためです。

例えば、肉製品の製造においては、適切な加熱処理がCCPとなり得ます。受け入れや保管の段階で微生物の存在が懸念される場合がありますが、梱包前に適切に加熱殺菌を行うことで、危害要因は解消されます。そのため、受け入や保管の段階ではCCPとして設定する必要はありません。

受入から出荷までの工程で病原微生物をコントロールする手段がその工程でしか行うことができない、またはそれ以降の工程で行われない場合、その点が「CCP」として特定されます。

CCPのモニタリング方法

次に、特定されたCCPをどのように監視するかの方法を決めます。
モニタリングは、CCPが適切に管理されているかを確認するための重要な工程です。
具体的には、温度や湿度などのパラメータを定期的に測定し、記録することで、管理状況を把握します。

是正措置の設定

万が一、CCPの管理が不十分であった場合に取るべき措置を事前に設定します。
これにより、危害が消費者に到達する前に、迅速に対応することができます。
是正措置としては、製品の回収や再処理など、具体的なアクションプランを明記します。

CCP整理表の具体的な活用方法

CCP整理表は、食品衛生管理における重要な管理点を一覧で把握し、効果的に管理するためのツールです。
適切なフォーマットで整理されていれば、問題が発生した際の迅速な対応や、日常的なモニタリングをスムーズに行うことができます。

整理表の内容とフォーマット

CCP整理表には、各CCP、それに関連する危害の種類、管理基準、モニタリング方法、是正措置などの基本情報が記載されます。
フォーマットとしては、テーブル形式が一般的です。
列ごとに上述の項目を並べ、行ごとに各製造工程のCCPを詳細に記入します。
整理表の存在により、一目でCCPの管理状況を確認することが可能となります。

実例を交えた整理表の作成方法

例えば、ハムの製造過程を考えた場合、焼成や冷却といった工程がCCPとして特定されるかもしれません。
整理表には、焼成工程での「中心温度が一定以上であること」や、冷却工程での「一定時間内に冷却されること」を管理基準として設定します。
モニタリング方法には、温度計を使用して定時に測定する、といった手段を記載します。
そして、温度が基準を下回った場合の是正措置として、再焼成や廃棄などの具体的な行動を記入します。
これにより、工程ごとのリスクを最小限に抑えることが可能となります。

食品製造におけるHACCPによる衛生管理普及のためのHACCPモデル例

引用:厚生労働省

よくある質問

食品衛生管理に関して、多くの方からの質問が寄せられることがあります。
以下は、よくある質問とその回答を、専門家の視点からわかりやすく解説します。

Q
HACCPとは具体的に何の略?
A

HACCPは、”Hazard Analysis and Critical Control Point”の略で、危害分析および重要管理点を意味します。これは、食品の安全を確保するためのシステム的なアプローチで、危害を事前に分析し、その管理点を特定して監視します。

Q
CCPの特定はどのように行うのか?
A

CCPの特定は、危害分析を通じて行います。食品製造の各工程で可能性のある危害を洗い出し、それが実際に問題となるリスクがあるかを評価します。リスクが高い場合、その工程をCCPとして特定し、適切に管理する必要があります。

Q
OPRPとCCPの主な違いは?
A

OPRPは”Opportunity for Risk Reduction Points”の略で、リスク削減の機会点を指します。CCPは食品安全において絶対に管理すべき点ですが、OPRPは重要ではあるものの、CCPほどの厳格な管理が必要ではない点を示します。

Q
CCP整理表を作成する際の最も重要なポイントは?
A

CCP整理表を作成する際の重要なポイントは、明確かつ詳細に各CCPを記載することです。管理基準、モニタリング方法、是正措置など、必要な情報を漏れなく記入することで、実際の業務でのモニタリングや対応がスムーズになります。

Q
小規模な事業所でもHACCPプランは必要か?
A

はい、小規模な事業所でも、食品の安全性を確保するためにHACCPプランの導入は推奨されます。規模に応じたシンプルなプランでも、安全性の向上に繋がります。

食品の安全は、私たちの生活に直結する大切なテーマです。
HACCPはその安全を保証するための強力なツールとなります。
この記事を通して、その重要性と実践方法を学んでいただけたことを願っています。
あなたの取り組みが、より多くの人々の安全な食生活を支える原動力となることを心から願っております。

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